地球にマングローブを!!プロジェクト
マングローブってすごいんです!
すごい!その1 CO2吸収
マングローブって、環境にどのくらいの貢献度があるんだろう?とお思いでしょう。
実は、マングローブ林って、熱帯雨林を凌ぐCO2吸収量なのです!!
マングローブって、環境にどのくらいの貢献度があるんだろう?
アマゾンの熱帯雨林が「地球の肺」と言われているのは、良く聞く話ですね。
アマゾンの森が、森林の中でもっともCO2を吸収していると思っている方も多いでしょう。
もちろん森全体では、そうですが!
1haあたりの吸収量を見ると・・・
マングローブ林は、アマゾンの熱帯雨林を凌ぐCO2吸収量なのです!!
マングローブ成熟林のCO2吸収貯蓄量・・・799~1,283トン/ha
アマゾンの熱帯雨林のCO2吸収貯蓄量・・・平均814トン/ha
その秘密は、マングローブの独特な形
マングローブといえば、あの印象的な根っこのかたち
そのおかげで、マングローブは、木の本体だけでなく、土壌にまでCO2を取り込み貯蓄する能力に長けているんです。
そんなマングローブの中でもCO2吸収貯蓄能力がトップクラスなのは、ヒルギ科
そのヒルギ科の一種 『オオバヒルギ』 を私たちは植林します
オオバヒルギとは『ヒルギ科』の一種で、支柱根というタコ足状の根っこを出します。
種が大きく、約70cmも。人の大きさと比べると、その大きさがわかりやすいですね。
すごい!その2 生物多様性 『海のゆりかご』
マングローブの森は、生物多様性において重要な役割を果たしています。
生物多様性とは、生態系においてたくさんのさまざまな種類の生き物たちが
同じ場所で一緒に存在すること。
それは、マングローブが『海の森』であることと関係しています。
マングローブには、海と陸の境に目の干潟に広がっています。
干潟は、満潮の時には水に沈み、干潮の時には陸になる土地です。
マングローブの根元には、魚介類の住み家となっています。
マングローブが葉っぱを落とします。
その葉っぱを分解するためにプランクトンが発生。
そのプランクトンを食べに小魚・エビ・貝・カニなどが集まってきます。
また、マングローブは独特の根っこの形をしていて、外敵から身を守るには絶好の砦なのです。
その小魚を狙って中くらいの魚や渡り鳥や猿が集まってきて、微生物・魚介類・鳥類・哺乳類が生活しています。
このため、、色々な生物を育む『海のゆりかご』と言われているのです。
すごい!その3 自然の防波堤
マングローブは海と陸の間にあり、津波や高波を防いてくれます。
また、マングローブは土を掴むため、海岸浸食も防いでくれます。
マングローブの防波堤効果が見直されたのは、2004年12月26日のスマトラ沖大地震の時です。
最も津波の被害が大きかったインドネシア共和国スマトラ島北部のアチェ州。
とてつもない大きさの津波が来た痕跡が残っています。
津波によって船が内陸まで運ばれて民家の屋根に乗っかっています。
ここだけでなく、いたるところでこんな光景が見られます。
津波の強大さがとてもよくわかります。
↓↓↓波に乗って流された漁船が、今も民家の上に乗っかっている。
そんな中、 海岸線にマングローブの森があるところ
海岸線にマングローブの森がないところその被害に大きな差が目に見えて現れました。
マングローブがないところでは、津波によって海岸が浸食され航空写真で見ると海岸線の形が変わってしまっています。
↓↓↓2004年6月23日の航空写真(津波前)
↓↓↓2005年4月20日の航空写真(津波後)
海岸線にマングローブがあるところは、マングローブが津波の威力を緩衝して、内陸への被害を軽減してくれています。
アチェの大津波の経験から、マングローブの自然防波堤としての効力が世界中から注目されるようになりました。
マングローブの重要性が証明され、インドネシア国内でもマングローブ植林を促進していく動きが高まってきています。
マングローブの豆知識
マングローブの語源
「マングローブの語源は何ですか?」
2009年11月19日,香椎小学校で環境教育の授業を行った。
対象は小学校5年生の120名,その中の一人からもらった素朴な疑問.
書籍やインターネットで見つけた4つの説をご紹介します。
説1:南米の原住民が呼んでいた「マンガル」という言葉がヨーロッパに伝わり,その後,アメリカで森を意味するグローブ(grove)がついてマングローブになった
マングローブ入門 めこん 中村武久,中須賀常雄
説2:ポルトガル語の”mangue”あるいはスペイン語の”mangle”が語幹になり,それに英語の”grove”(小さな森の意味)がついてできあがった
英語の辞書;ウェブスター
説3:ポルトガルやスペインにマングローブは無く,航海に出て最初に立ち寄ったであろうアフリカ西海岸の言葉がmangueやmangleの語源となっている
ISME マルタ・ヴァンヌッチ博士,馬場繁幸博士
説4:マレー語で潮間帯に生育する樹木の総称を表すmangi-mangi(マンギ・マンギ)に,英語で小さい森を表すグローブがついてできた
今日までマングローブの語源は明らかにされず、謎というのが本当のところです。
マングローブと塩
陸上にある植物は、塩の影響を受けると通常枯れてしまいますが、マングローブは陸生植物と異なり、海水と淡水が混ざる河口域などの汽水域で生育します。
塩分をまったく含まない真水では徒長気味に成長し、マングローブの成長には塩分、すなわちNa+(ナトリウム)が必要と考えられています。
そんなマングローブも大量の塩は好みません。
過剰な塩分を、①塩類腺、②根でのろ過、③落葉、これら3つの方法で排除することが分かっています。
①マングローブの一種,ヒルギダマシ(Avicennia marina)には植物体内に取り込んだ過剰塩を排出できる特殊な器官,排塩腺(salt glands)があります。 これは人間が持つ汗腺に似たもの、汗をかいて老廃物を排出することと同様です。
②オオバヒルギ(Rhizophroa mucronata)などの土壌中に根は、スポンジ状の柔らかい構造となっています。これは水生植物に特徴的な根の形態です。 根から水を吸い上げる際、水中の塩分をろ過し、体の中に塩分が入ってくるのを防いでいます。
③オヒルギ(Bruguiera gymnorrhiza)やヤエヤマヒルギ(Rhizophora stylosa)などは、体内に取り込んだ塩を古い葉に蓄積し、黄褐色化した古葉を落葉させて塩分を排除します。
実際,黄褐色の葉を手にとって口に噛んだ際,緑色の葉より塩辛く感じ、葉の中に老廃物としての塩分を貯めこんでいることが実感できます。
マングローブの持つ特徴的な根
マングローブの中でも、塩分に耐性能力が高い樹種としては、ヒルギ科(Rhizophora ceae)とヒルギダマシ科(Avicenia ceae)とマヤプシキ科(Sonneratia ceae)が有名です。
この種のマングローブは、干潮時に現れる干潟で、塩分を含んだ海水中で生息しているため、この様な条件に適応するための発達した複雑な根を持っています。
ヒルギ科(Rhizophora ceae)はタコ足状の根を持ちます。
これは、どろどろの土壌の干潟の干潟で、海の波や潮の満ち引きにさらされても倒れないように、体を支えるための支柱根(しちゅうこん)です。
また、ヒルギダマシ科(Avicenia ceae)とマヤプシキ科(Sonneratia ceae)は、呼吸根と呼ばれる根を持ちます。 地面から鉛筆のような形をした根が、地面から空に向かって剣山のように生えています。この呼吸根で酸素含有量の低いどろどろの干潟でも呼吸根から酸素を吸収することができるのです。
これは、ほんの一部の話ですが、このように、マングローブの中には様々な環境に適応するための特徴的な根を持つ樹種が多く存在します。
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