マングローブ植林 成長記録
植林の実施
右の写真は、マングローブの種の植林作業を行っている様子です。土壌が硬いため、棒で穴を掘り種を植えていきます。
私たちが植えている種はオオバヒルギ(60㎝)とフタバナヒルギ(30㎝)。試験植林をしながら土壌に合わせて植えていきます。 自然環境の中でたくましく育つよう、私たちの強い願いを込め、発芽させずに種から植林しています。
このマングローブたちが、芽を出し、元気に成長し、大きくなってくれることを祈りながら地元の村の人たちと植えていきます。
植林後3カ月 双葉が生えた苗
植えてから3ヶ月。きれいな双葉を生やしたマングローブたち。
この干潟全体では、約126,000本の種を植え育てています。
訪れる度に、新しい双葉の数が増え、背丈ももとの種の2倍の大きさまで伸びています。
しかし、中には流されたり、枯れてしまう種も出てきます。
植林した種の生存率は、現時点では約95%。活着しなかった種については、後日補植を行っていく予定です。
植林後1年4か月 1m以上に成長
マングローブたちは順調に成長、大きな葉をつけ、植林時から見違えるほどに大きくなった。
一番大きいもので樹高1m以上に成長。
オオバヒルギもフタバナヒルギも枝を伸ばし、葉が増えている。成長が早いものは根元から支柱根を出し始めた。
オオバヒルギは幹を太らせ、根元の方は直径3センチ程の太さに成長。実はオオバヒルギの方がフタバナヒルギより成長が早いのです。
海水と淡水が交じり合う潮間帯に生息するマングローブ。塩分を含んだ海水を吸い上げているのに、何故枯れずに成長出来るのだろうか。
そう思ったことはありませんか?
スカナ島で植林しているフタバナヒルギとオオバヒルギは、根から吸収した塩分を特定の葉に蓄積し、落葉させることにより塩分を体外に排出する機能を持っています。
右下の写真をご覧下さい。手前にある一枚の葉が黄色く変色し、枯れているのがおわかりでしょうか。この黄色くなった葉を落とすことで塩分を排出します。
このようにして、オオバヒルギやフタバナヒルギは自身の樹体が塩分過多になるのを防ぎ、枯れずに成長することができるというわけです。
植林後2年1か月 水面に顔を出す
潮が引く前のスカナ島にやってきた。浸水した状態がどうなっているか調査に向かう。
この状態で、110から120cmは海面に沈んでいる状態。ちょうどマングローブの葉の部分が水面上にゆらゆら揺らいでいる。
緑の群に近づいてみる。一本一本が一生懸命に水面上に顔を出し、波に乗ってゆらゆらとリズムに乗るように頭を振っている。
海の森と呼ばれる姿は不思議で、インドネシアの雄大な景色の一部となっていた。
満潮時にも海面から葉を出すようになったマングローブにたくましさを感じますが、これまでに植えてきた種のすべてが根付いたわけではありません。
根付かずに波に流されてしまったもの。
からみついた海藻の重みによって折れてしまったもの。
フジツボ等の寄生で育ちが悪くなってしまったもの…。
そして干潟の高低差による浸水時間の差や塩分濃度の違いによっても、マングローブの活着率や成長に差が出てくるのです。
成長していくマングローブたちの前には数々の困難が立ちはだかります。
成長しようとするマングローブを助け、根付かなかったものについては補植をする。その作業は私たちの大切な仕事の一つなのです。
植林後2年2カ月 幹・支柱根の成長
マングローブたちは幹の中ほどからも支柱根を伸ばし、太く成長しはじめた。
支柱根とは、幹の根元部分からタコ足状に伸びた根のこと。マングローブたちは、この支柱根を地面にしっかりと張ることで波や潮の満ち引きによる樹体へのストレスを和らげていると考えられています。
大きく育った葉は、手のひらほどの大きさの物もあり、マングローブたちは樹高を伸ばす縦の成長から、幹が太り枝葉を伸ばす横の成長の段階に入ったようだ。
2005年5月に126,200本のマングローブを新規植林してから、2年2ヶ月。
流された種、枯れた種を現在までに補植した25,700本を合わせると、このスカナ島に151,900本のマングローブの植林が完了している。